Pch-MOSFETによる「逆接続保護回路」

2023/11/19

回路

t f B! P L

今回は、Pch-MOSFETによる、電源の逆接続などから後段の回路を保護する「逆接続保護回路」の紹介です。

逆接続保護機能は、ダイオード1個でも実現可能ですが、ダイオードによる電圧降下が発生します。

今回の回路は、電圧降下をできるだけ小さくしたいときなどに有効です。

Pch-MOSFETの使い方

回路の前に、Pch-MOSFETの使い方についてざっくりと解説します。

Pch-MOSFETの使い方

ゲートの電圧が、ソースの電圧よりも一定以上低いとき、FETは「ON」となり、そうでないときは「OFF」となります。

また、Pch-MOSFETのボディダイオードは、FETのドレイン側にダイオードのアノード、ソース側にカソードとなります。

Pch-MOSFETによる逆接続保護回路

逆接続保護回路

この回路は、入力電圧が順方向のときにMOSFETがON逆方向のときにはMOSFETがOFFとなることで、電源の逆接続から後段の回路を保護します。

この逆接続保護回路の動作を見ていきます。

まずMOSFETがOFFの状態で、入力電圧Vinが印加されたとき、電流がMOSFETのボディダイオードを通じて回路を流れます。

逆接続保護回路の動作

これによって、MOSFETのソースの電圧は(Vin-Vf)となります。また、ゲート電圧は0[V]です。

逆接続保護回路の動作2

そのため、MOSFETのゲート-ソース電圧Vgsは、-(Vin-Vf)となります。この電圧が、MOSFETのゲートしきい値を上回っていれば、MOSFETはONとなり、負荷(Load)には入力電圧Vinがかかります

入力電圧が逆方向となった場合には、

逆接続保護回路の動作3

MOSFETのゲート-ドレイン間に電圧がかかりますが、ゲート-ソース間に電圧がかからないのでMOSFETはOFFのままです。そのため、後段の回路に逆方向の電圧が印加されません

逆接続保護回路の注意点

逆流防止機能はない

この回路は、入力電圧が正のときはMOSFETがON、負のときはMOSFETがOFFとなる逆接続保護回路です。そのため、入力電圧が正のときに、負荷電圧の方が入力電圧よりも大きいときは、電流が逆流します。逆流防止ダイオードのかわりにはなりません。

ゲート-ソース間電圧

上記の回路は、入力電圧を直接ゲート-ソース間に印加します。入力電圧が、MOSFETのゲートーソース電圧のしきい値以下の場合はMOSFETがONとなりません。また、しきい値以上でも、充分にMOSFETをONとなるだけの電圧がないと、ON抵抗が大きくなってしまいます。

ゲート-ソース間の耐圧

入力電圧が大きい場合には、MOSFETのゲート-ソース間の耐圧にも注意が必要です。ゲート-ソース電圧の絶対最大定格は20Vくらいのものが多いです。入力電圧は、だいたい12Vくらいまでが使える範囲かな?と思います。

入力電圧がそれ以上になる場合には、ツェナーダイオードなどでゲート-ソース電圧をクランプする必要があります。

高電圧版

ドレインとソースを入れ替えたらどうなるか?

さて、この回路のMOSFETのドレインとソースを入れ替えた場合をちょっと考えてみます。

逆接続保護回路ではない回路

Pch-MOSFETのゲートを入力電圧Vinで直接ドライブするイメージで、一見これでも良さそうに見えます。

逆接続保護回路ではない回路の動作

しかし、入力電圧を逆方向にすると

逆接続保護回路ではない回路の動作2

MOSFETのボディダイオードを通じて、回路に電流が流れ、後段の回路に逆電圧がかかってしまいます。

ということで、ドレインとソースを入れ替えると、逆接続保護になりません。

当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

このブログを検索

最新記事

ブログ運営者:そのへんの誰か


このブログのURL

QooQ