抵抗とコンデンサによるLPF(Low Pass Filter)、HPF(High Pass Filter)は良く使われます。
フィルタ回路の定番ですが、これらの回路も、結局のところ「分圧回路」です。今回は、RC-LPF、HPFを"分圧回路"の視点から見てみます。
RC-LPF
RとCの分圧回路がLPFになる
まずはLPF(ローパスフィルタ)から考えていきます。
RとCを縦に並べると、「RとCによる分圧回路」って感じがしてきませんか?
ちなみに、LPFとは、LPF:Low Pass Filter:ローパスフィルタで、その名の通り、ローをパスするようなフィルタです。(つまりハイはカットする)
ここで、「ハイ」「ロー」といっているのは、信号の周波数です。
さて、LPFは交流の話なので、RとCを「インピーダンス」で考えます。
「インピーダンス」というのは、"抵抗"を「交流の世界」用に拡張したもので、「交流の世界」での"電流の流れにくさ"を表します。
さきほどのRC-LPFをインピーダンスとしてみると、
Z1とZ2による分圧回路です。Z1の素子が抵抗で、Z2の素子がコンデンサです。
コンデンサは、周波数が大きくなると、インピーダンスが小さくなり、周波数が小さくなると、インピーダンスが大きくなります。
そのため、周波数が大きくなると、分圧回路のZ2が小さくなるため、出力電圧が小さくなる(信号を遮断している)というローパスフィルタの動作がイメージできるかな、と思います。
インピーダンスとベクトル図を用いて考えてみる
もう少し詳しくみていくと、インピーダンスはそれぞれ
となります。これらのインピーダンスをベクトルで表すと、こうなります。
電流iが流れるとすると、各部の電圧は
となるので、ベクトルで表すと、
となります。上図のベクトルをみると、Vinの大きさに対して、Voutの大きさが小さくなっています。また、Vinに対してVoutは位相がθ遅れていることも見て取れます。(LPFの働き)
周波数が低いときと、高いときでは、電圧ベクトルが上図のようになります。また、この図からも、RC-LPFの位相遅れは最大90°(Vin≒V1のとき)なのが読み取れます。
カットオフ周波数
ちなみに、|Z1|=|Z2|のときにカットオフ周波数となります。
このことが分かっていると、「あれ、カットオフ周波数の式ってどんなだったっけ?」となっても、すぐに導き出せます。(というか覚える必要がありません)
RC-HPF
HPFはLPFのRとCを入れ替えた形になります。考え方は、LPFと同様です。
インピーダンスは、このようになります。
電流iが流れるとして、各部の電圧とベクトルは、このようになります。
周波数が低いときには、Vinに対してVoutの大きさが小さくなり、位相差が大きくなります(VoutはVinに対して進み)。周波数が高いときには、VinとVoutの電圧差が小さくなり、位相もあまり変わりません。
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