電流を計測する方法のひとつとして、「シャント抵抗」を用いた方法があります。分かりやすい単純な方法ですが、よく使われます。
今回は、シャント抵抗による電流計測について、やっていきます。
シャント抵抗による電流計測の原理
シャント抵抗による電流計測の原理は、オームの法則です。
シャント抵抗の抵抗値をあらかじめ分かっていれば、シャント抵抗の両端電圧(=シャント抵抗による電圧降下)から、流れている電流の値を算出できます。
問題は、電流経路に抵抗を挿入すると、電圧降下と電力損失が発生することです。電圧降下や電力損失はなるべく避けたいので、これらを小さくするためには、抵抗値を小さくする必要があります。
抵抗値を小さくすると、電圧降下が小さくなります。しかし、このシャント抵抗による電圧降下は、電流値を測定する「信号」でもあります(シャント抵抗の電圧降下を測定して、電流値を算出する)。電力損失を小さくするために、抵抗値を小さくすると、信号も小さくなってしまいます。
かと言って、抵抗値を大きくすると、信号は大きくなるものの、電力損失も大きくなってしまいます。
さて、ではどうする?となるわけですが、損失を小さく抑えたいときは、抵抗値の小さいシャント抵抗を使用します。そのうえで、小さくなってしまった信号をアンプで増幅して、それなりの大きさの電圧(信号)にします。
ハイサイド計測とローサイド計測
シャント抵抗で電流を計測するとき、シャント抵抗を、負荷の上流(ハイサイド)に置く「ハイサイド計測」と、負荷の下流(ローサイド)に置く「ローサイド計測」があります。
ハイサイド計測では、負荷よりも上流側にシャント抵抗を置くため、シャント抵抗の両端電圧を増幅するアンプ回路にも、高い電圧がかかります。そのため、回路が複雑になったり、ハイサイド計測用の専用アンプが必要になったりします。(注:デメリットだけではなく、その分メリットもある)
ローサイド計測の場合は、シャント抵抗はGND側に置かれるため、アンプ回路には高い電圧がかかりません。
どうしてもハイサイド側で計測したい理由がなければ、ローサイドで計測する方が、回路的にはラクです。
シャント抵抗による電流計測は4端子法で
シャント抵抗は低抵抗なので、配線抵抗や接触抵抗の影響が大きくなります。
そのため、シャント抵抗の両端の電圧だけを測るために、抵抗の直近から測定線を出すことが重要です。
(関連記事:4端子法とは? なぜ必要か?その発想と考え方)
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