コンパレータに抵抗を外付けして、ヒステリシス特性を持たせる回路があります。この回路で、なぜヒステリシス特性がつくのか、基本的な考え方について、やっていきます。
ヒステリシス特性をもつコンパレータ回路
コンパレータにヒステリシス特性を持たせる"基本回路"はこのようになります。
なぜこれでヒステリシス特性を持つことになるのか?ということについて、解説していきます。
なお、話を単純にするため、コンパレータは「プッシュプル出力タイプ」として考えていきます。
(プッシュプル出力タイプについてはこちら:コンパレータとは? ざっくりと解説)ヒステリシス特性がつく理由
結論から言うと、
コンパレータの出力状態によって、(+)端子にかかる電圧が切替わるから、
というのが理由です。コンパレータの出力("H"or"L")によって回路を切り替えるようなイメージです。
コンパレータ出力が「L」のとき
まず、コンパレータの出力が「L」のときを考えてみます。
抵抗R1とR2に注目して、その部分だけを抜き出すと、こんな回路になります。(コンパレータのVoutが「L」=0[V]=GND)
VrefをR1とR2で分圧した電圧が、コンパレータの(+)端子に入力されます。
コンパレータは、(+)端子と(-)端子の電圧を比較して、動作が決まります。そのため、この"コンパレータ回路"の出力が切り替わる「しきい値」は、(+)端子電圧となります。
回路の入力した基準電圧:Vrefに対して、コンパレータの(+)端子電圧は低くなる(分圧されているので)ため、しきい値はVrefよりも低くなります。
コンパレータ出力が「H」のとき
つづいて、コンパレータの出力が「H」のときを考えてみます。
抵抗R1とR2に注目して、その部分だけを抜き出します。(コンパレータのVoutが「H」=コンパレータの電源電圧)
電源電圧Vddと基準電圧Vrefの差分電圧がR1とR2にかかります。その分圧電圧(にVrefを加えたもの)がコンパレータの(+)端子に入力されます。
そのため、Vrefに対して、コンパレータの(+)端子電圧は高くなるので、しきい値はVrefよりも高くなります。
コンパレータ出力としきい値の関係
コンパレータの出力状態としきい値の関係をまとめると、このようになります。
ヒステリシス特性をもたせたコンパレータ回路の動作はこんな感じです。
余談:(-)端子側に抵抗分圧をもってくると...
さきほどまでの、コンパレータの出力によって回路を切り替えるという考え方に基づいて、抵抗分圧を(-)端子側にもってくることを考えてみます。
これでも良さげ?と思いがちですが、うまく動作しません。
なぜうまく動作しないのか、というと、「しきい値を超えようとすると、しきい値がついてくる」ようなイメージの動作になってしまうからです。
ちなみに、(+)端子側に抵抗分圧をもつ「ヒステリシス特性付きコンパレータ回路」の場合は、「しきい値をまたぐと、逆方向にしきい値が動く」ような動作になっています。(正帰還)
この回路の形をよく見ると、「オペアンプの反転増幅回路」と同じ形になっていることからも、"コンパレータとして"うまく動作しないことがイメージできるかな、と思います。
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