「コンパレータ」という素子があります。日本語だと「比較器」です。今回は、このコンパレータについて、ざっくりと解説していきます。
コンパレータとは?
コンパレータは、入力の(+)端子と(-)端子の電圧を比較して、(+)端子の方が大きいときは出力が"H"、(-)端子の方が大きいときは出力が"L"となるような動作をする素子です。
出力は"High"と"Low"の2つの値になります。出力の"H"の電圧は、コンパレータの電源電圧、"L"の電圧はGNDです(後述するプッシュプルタイプでは)。
コンパレータの回路図記号は
こんな感じで、オペアンプと同じです。
回路図記号が同じって紛らわしいですよね?。ですが、オペアンプとコンパレータは、基本的には同じ(ような)ものです。(そのため、回路図記号も同じなのかもしれません。)
何が違うのか?というと、「用途」が違います。オペアンプはアナログ信号を処理するために使用しますが、コンパレータはアナログ信号の大小を比較して、"H"と"L"の2値を出力します。
コンパレータは、オペアンプをコンパレータ用にチューニングしたものといったイメージです。
(関連記事:オペアンプの動作イメージとバーチャルショート)基本的な使い方
出力が"H"と"L"の境となる「基準電圧」を入力端子の一方に入力し、基準電圧と比較する「信号」を他方の入力端子に入力するのが、基本的な使い方です。
基準電圧を(-)端子に、(+)端子に信号を入力した場合は、
といった動作となります。入力信号が基準電圧より低ければ出力"L"、入力信号が基準電圧を上回れば出力が"H"となります。
逆に、基準電圧を(+)端子に、(-)端子に信号を入力した場合は、
といった動作となります。入力信号が基準電圧より低ければ出力"H"、入力信号が基準電圧を上回れば出力が"L"と、先ほどと論理が逆になります。
コンパレータはA/Dコンバータ
コンパレータは、「比較器」の名の通り、2つの入力を比較する素子ですが、1bitのA/Dコンバータという見方もできます。
(基準電圧を(-)端子としたとき)入力信号が基準電圧より大きければ"1"、小さければ"0"といった、大雑把なデジタル化をします。出力は"0"か"1"の2値なので、1bitです。
このように、コンパレータは「アナログの世界とデジタルの世界とをつなぐ役割」をはたします。
プッシュプル出力タイプとオープンコレクタ出力タイプ
コンパレータの出力方式には、「プッシュプル」タイプと「オープンコレクタ」タイプの2種類があります。
プッシュプル出力タイプ
プッシュプル出力タイプは、出力"H"のときには出力端子から電源電圧が出力され、出力"L"のときには0Vが出力されます。
オープンコレクタ出力タイプ
オープンコレクタ出力のイメージはこんな感じです。
出力端子にトランジスタが接続されていて、出力"H"のときにはトランジスタがOFF、出力"L"のときにはトランジスタがONとなります。
オープンコレクタ出力タイプでは、プルアップ抵抗を外付けして使用します。そうすることで、出力"H"のときには電源からプルアップ抵抗を介して電圧が出力されます。
なぜわざわざこんなことをするのか?何がうれしいのか?というと、オープンコレクタ出力タイプには、プッシュプル出力タイプにはない利点があるからです。
オープンコレクタ出力タイプのメリット(1)
オープンコレクタタイプのメリットのひとつ目は、出力の電圧レベルを自由に設定できることです。(もちろん限度はありますが)
出力端子は"スイッチ"として働くので、出力信号の電圧をコンパレータの電源電圧以外に設定できます。
上図のように、異なる電源電圧の回路をつなぐ役割も担えます。
オープンコレクタ出力タイプのメリット(2)
ふたつ目のメリットは、「ワイヤードOR」ができることです。
出力を単純に並列接続するだけで、ORの論理(どちらかが"L"であれば出力"L"。両方"H"のときだけ出力"H"。)が組めます。出力端子が"スイッチ"として働くオープンコレクタならではの使い方です。プッシュプル出力タイプではNGです。
オープンコレクタ出力タイプのデメリット(1)
オープンコレクタ出力タイプには、デメリットもあります。分かりやすいデメリットは「プルアップ抵抗が必要」なことです。
オープンコレクタ出力タイプのデメリット(2)
他には、出力を"L"から"H"に変化するスピードが、プッシュプル出力タイプと比べて遅いことが、オープンコレクタ出力タイプのデメリットとして挙げられます。
0 件のコメント:
コメントを投稿