低抵抗の抵抗値を測る時などに登場する「4端子法」。
4端子法とは、何なのか?なぜ必要なのか?、その手法に至る考え方(発想)について、今回はやっていきたいと思います。
4端子法とは?
4端子法をカンタンにまとめると「電流経路と電圧測定ラインを分ける」ことです。
電流経路用の端子(2つ)と、電圧計測用の端子(2つ)で合計4つの端子が必要となるので、「4端子法」というのだと思います。
では、なぜ電流経路と電圧測定ラインを分けるのか?4端子法に至る考え方(発想)について順を追ってみていきます。
4端子法に至る考え方
抵抗値は、測りたい抵抗に流れる電流と、そのときの抵抗による電圧降下が分かれば、オームの法則より算出できます。
ということで、
このように、電流計と電圧計で、電流と電圧を計測すれば、抵抗値が分かります。
基本的には、これでOKなのですが、測りたい抵抗の値が小さいときは「あること」に気を付けないと、正しい値を計測できません。
その「あること」とは、接触抵抗や配線抵抗といった、意図しない抵抗のことです。
先ほどの回路を、意図しない抵抗の存在を考慮して書き直すと、こんな感じになります。
この図のr1~r7が、接触抵抗や配線抵抗といった、意図しない抵抗です。
ここで例として、I=1A、R=10mΩ、r1~r7はそれぞれ4mΩ、電圧計の内部抵抗は充分に大きく電流は流れ込まない(計算をラクにするため)としたとき、
電圧計の読み値と、そこから算出される抵抗値は
といった具合に、接触抵抗や配線抵抗を含んだ値が算出されます。これは、r3とr6による電圧降下も含んだ値を計測したことが原因です。
現実世界で、接触抵抗や配線抵抗をゼロにはできません。そのため、r3とr6による電圧降下が起こることは防ぐことはできません。
しかし、誤差なく抵抗Rの値だけを計測したい!と思ったときにどうするか?
ものすごく単純な発想として、r3とr6の内側から電圧を測ることができれば、正確な抵抗を算出できます。
r3やr6は、測定したい抵抗Rへの配線抵抗や、抵抗Rと接続する際の接触抵抗などです。ここに電流が流れることによって、電圧降下が発生します。
この電圧降下は防げませんが、電流供給経路のラインとは別に「電圧計測用ライン」を用意すると、問題が解決できます。回路図にするとこんな感じ。
電圧計測用のラインを別に用意したとしても、電圧計との接続配線の配線抵抗や、抵抗Rとの接続する際の接触抵抗など(上図r4やr5)は存在します。電流経路上の配線抵抗や接触抵抗(上図r3やr6)も変わらず存在します。
電圧計の内部抵抗は大きいので、電圧計測ラインには、ほぼ電流が流れ込みません。抵抗による電圧降下は電流を流した時のみ発生します。そのため、電圧計測ラインでは意図しない抵抗があったとしても、測りたい抵抗Rの電圧降下のみを計測することができます。
実際のところ、本当にこのように4端子法が生まれたかは分かりませんが、おそらくこんな感じの思考だと思います。
まとめ
- 測りたい素子直近から、電流経路とは別の「電圧計測ライン」をもつことで、電流経路上の意図しない抵抗の影響を避けることができる
- 電圧計測ラインにも配線抵抗や接触抵抗はあるが、電圧計の内部抵抗が大きいため、電流が流れ込まず、影響をほぼ受けない
4端子法が分かりにくいと感じる部分は、恐らく「電流経路の接触抵抗の影響を避けるために、電圧計測用の別の線を接触させる」ところではないかな?と思います。
電流経路の接触抵抗では、電流が流れるために電圧降下が発生しますが、電圧計測線の接触抵抗では、電流が流れ込まないため、電圧降下が発生しない。というのがポイントです。
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