今回は、タイマーIC「555」の動作解説(5)~PWM発振回路~で紹介したタイマーIC「555」によるPWM発振回路の発振周波数について、もう少し詳しく考えてみます。
「タイマーIC「555」の動作解説(5)~PWM発振回路~」では、
この回路のコンデンサの充放電はダイオードを介して行われます。そのため、ダイオードの順方向電圧を差し引いた電圧で充放電されることになるので、周期は「無安定動作」の式と比較して伸びます。
また、周期が伸びる具合は、「電源電圧とダイオードの順方向電圧の比率」によって決まるので、発振周波数は電源電圧依存性を持つことになります。電源電圧が小さいほど、相対的にダイオードの順方向電圧の影響が大きくなるので、周期が長くなります。
と書きましたが、「じゃあ、実際どのくらいの周波数になるの?」という部分について、考えていきます。
(計算フォームはこちら → タイマーIC「555」各動作の周期、周波数の算出)
ダイオードを介した時の充電時間の計算
コンデンサの充電時間(=出力Hとなる時間)を考えます。
0→2/3Eまで充電する時間
0→1/3Eまで充電する時間
1/3E→2/3Eまで充電する時間
1/3E→2/3Eまで充電する時間(=Ton)は、
となります。
ダイオードを介した時の放電時間の計算
続いて、コンデンサの放電時間(=出力Lとなる時間)を考えます。
2/3E→1/3Eまで放電する時間
555によるPWM回路の発振周波数
上記TonとToffより、周期Tは
となります。このように、式からも、可変抵抗VRのポジションによらず(dutyによらず)周期Tは一定となることが示されました。発振周波数はこの周期Tの逆数です。
具体的な数値で計算してみる
最後に、具体的な例を用いて、周波数を算出してみます。
(例1)E=5V、VF=0.6V、Rd=1kΩ、VR=100kΩ、C=1000pFとしたとき、555によるPWM回路の発振周波数は..?
(例2)例1と同じ部品を用いて、電源電圧E=12Vとしたときの周波数は...?
と計算できます。(数値の丸め方が雑なので、ちゃんと計算するとちょっと値が違うかも...まぁ誤差ってことで。)
計算結果より、電源電圧が高いと発振周波数が高くなることが示されました。また、具体的な値を算出することができました。
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