前回(ソーラーカー用ウィンカー回路をつくる(3)~LED発光部~)に引き続き、ソーラーカー用ウィンカー回路についてやっていきます。今回は、残りの設計編です。
電子スイッチ(MOSFET)
ウィンカーを点滅させる、電子スイッチにはMOSFETを使います。
ソーラーカー用ウィンカー回路をつくる(2)~矩形波発振回路~で設計した「LMC555」による矩形波発振回路の出力信号が、MOSFETのゲート信号となります。矩形波発振回路の出力信号は0V⇔5Vの電圧なので、5Vでドライブできる「2SK2232」を選定しました。
LMC555のデータシートに、「-10mA、+50mA出力電流レベルがテスト済み」という記述があります。なので、LMC555の出力電流は最大50mAとし、ゲート抵抗は100Ωとしました。ゲート・ソース間の抵抗10kΩは、電源OFF時に確実にOFFとするために入れています。
次に、熱的に大丈夫か確認します。
データシートより、
- チャネルー外気間熱抵抗Rth(ch-a):62.5℃/W
- チャネル最大温度Tch_max:150℃
- オン抵抗Ron:0.08Ω(max)
と、特性が読み取れます。
チャネル温度の使用最大値を125℃、周囲温度Ta=65℃とすると、
許容最大電力は0.96Wとなります。
LED発光部1ユニットごとに最大61.94mA流れるので、ハザード点灯状態では61.94mA×4=247.76mAがMOSFETに流れる最大電流値です。なので、
MOSFETの導通損は2.455mWと計算できます。先に計算した最大許容電力0.96Wと比べて、かなり余裕があるので、ヒートシンクなしで問題なく使用できると判断できます。(スイッチング損を足してもほぼ間違いなく許容電力以下となると思われるので)
関連記事:(MOSFETとは? 使い方の基本と動作イメージ)
関連記事:(カンタンな熱計算のやり方(1)ヒートシンクなしで、どこまで使用できるか?)
設計したウィンカー回路
全体の回路図は、こうなりました。
左ウィンカー点滅用スイッチ、右ウィンカー点滅用スイッチは、矩形波発振回路の電源(5V)供給スイッチも兼ねます。ウィンカーをOFFとしている時に矩形波発振回路の電源をOFFすることで、消費電力を下げています。
動作確認
製作したウィンカー回路の動作確認を行いました。
計測点は図のCh1、Ch2です。
Ch1は電流プローブによる電流計測です。電流プローブの[1mV/10mA]レンジで、配線を5ターン巻いて計測し、オシロ側で[×10]としているので、表示上[50mV/10mA]の変換比となっています。
ハザード点滅状態での動作波形はこのようになりました。
Ch2のMOSFETのゲート信号に合わせて、回路に電流(Ch1)が流れていることが分かります。ゲート電圧は0⇔5V、電流は0⇔208mA程度となっています。電流はLED4ユニット分なので、1ユニットあたり(平均で)52mA程度となっています。
続いて、ウィンカー点滅状態での動作波形はこのようになりました。
ハザードと同様に、ゲート信号に合わせて、回路に電流が流れています。電流値が0⇔107mA程度となっています。この電流値はLED2ユニット分なので、1ユニットあたりでは(平均)53mA程度となっています。
部品表
設計したウィンカー回路の部品を表にまとめると、こうなりました。
品名 | 個数 | ||
タイマーIC | LMC555 | 1 | |
積層セラミックコンデンサ | 0.1uF | 1 | |
フィルムコンデンサ | 1uF | 1 | |
カーボン抵抗 | 390kΩ | ±5% 1/4W | 1 |
カーボン抵抗 | 100Ω | ±5% 1/4W | 1 |
カーボン抵抗 | 10kΩ | ±5% 1/4W | 1 |
金属皮膜抵抗 | 68Ω | ±1% 1/4W | 4 |
LED | OSY5CA5B61P | 16 | |
スイッチ | 2回路 | 2 |
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