前回(ソーラーカー用ウィンカー回路をつくる(2)~矩形波発振回路~)に引き続き、ソーラーカー用ウィンカー回路についてやっていきます。今回は、LED発光部の設計編です。
LED発光部
LEDによる発光部の設計を行います。
ウィンカーの発光部は、車体の「右前」「左前」「右後」「左後」の4か所に配置する必要があります。今回は「LEDユニット」として同じものを4つ用意して、それぞれに配置することにします。
LEDの特性を確認
使用するLEDは、「高輝度」、「半減角が大きい」ことなどから、「OSY5CA5B61P」を採用しました。OSY5CA5B61Pの主な特性を表にすると、こんな感じです。
光度 | 19000mcd (typ) |
半減角 | 60deg |
順方向電流 | 70mA(max) |
順方向電圧 | 2.0V(min), 2.2V(typ), 2.6V(max) |
続いて、データシートのVf_Taグラフより、温度特性をみると、
温度が25℃→65℃と変化すると、ざっくり順方向電圧が0.1V程度低下すると見積もれます。
また、データシートのTa-Ifグラフより、最大許容順方向電流をみると、
Ta=65℃の時の最大許容順方向電流は(一番厳しい条件のRth(J-a)=300℃/Wで考えると)64mA程度と読めます。
順方向電圧Vfの範囲が2.0V~2.6Vと広いので、全数実測してみます。全20個をIf=55mAでの順方向電圧を実測すると、このようになりました。
No. | Vf(V)@55mA |
---|---|
1 | 2.09 |
2 | 2.1 |
3 | 2.07 |
4 | 2.11 |
5 | 2.09 |
6 | 2.07 |
7 | 2.16 |
8 | 2.14 |
9 | 2.07 |
10 | 2.1 |
11 | 2.07 |
12 | 2.08 |
13 | 2.08 |
14 | 2.08 |
15 | 2.08 |
16 | 2.11 |
17 | 2.07 |
18 | 2.06 |
19 | 2.06 |
20 | 2.09 |
LEDの直列数を4として、順方向電圧が揃うように4つのユニットをつくることにします。
- Unit1:{No.6, No.7, No.14, No.17}
- Unit2:{No.5, No.8, No.9, No.15}
- Unit3:{No.1, No.2, No.12, No.16}
- Unit4:{No.4, No.10, No.13, No.20}
このようにユニット分けをすると、ユニット単位での順方向電圧は全て8.38Vと揃います。
電流制限抵抗の検討
電流制限は、まずは抵抗で検討します。
上記より、周囲温度Ta=65℃の時の順方向電流の最大値は64mA程度です。少し余裕をみて60mA程度を最大値として、電流制限抵抗を仮決めします。電源電圧は12V(±0.15V)とすると、
E系列から69.5Ωに近い値として、68Ωを選んで、再計算します。カーボン抵抗(±5%)を想定して最大電流値を計算すると、
絶対最大定格値64mAを超えているので、金属皮膜抵抗(±1%)として計算すると、
となります。まぁ良し?とするとして、最小電流値も計算します。
最小電流値の時の50.52mAで充分な明るさが確保できるか?が問題となります。
実験で確かめたところ、充分に明るく問題なさそうでした。なので、電流制限は「金属皮膜抵抗(±1%)68Ωによる電流制限抵抗」でいくことに決定です。
余談
暑さが厳しい場所(オーストラリア等?)を考慮するなら、E系列でひとつ上の値の75Ωとしたほうが安全かもしれません。そのときの最大電流値、最小電流値はこんな感じで、
最小電流値45.8mAでも結構明るいので、これでも良い気がします。
電流制限抵抗の消費電力
電流制限抵抗の消費電力を確認します。ウィンカー&ハザードでDuty50%なので、
と計算され、1/4W(0.25W)定格のものを使えそうです。
設計したLED発光部
今回設計したLED発光部の1ユニット分はこんな感じです。
出来上がってみれば超シンプルです。このユニットを4つ用意して、前後左右に配置します。
設計したLED発光部の実験
今回設計したLED発光部(Unit)を製作し、設計した通りになっているかを確認します。
LEDユニットに12Vをかけて、電流値が設計範囲内になるかを調べます。
試験はこんな感じで、電源とテスタによって行いました。
結果はこちら。
Unit1 | Unit2 | Unit3 | Unit4 | |
印加電圧[V] | 12.00 | 12.02 | 12.02 | 12.04 |
電流[mA] | 53.23 | 53.40 | 54.03 | 54.55 |
LEDユニットに流れる電流は、だいたい53~54mA程度となりました。設計した値の範囲内に入っていることを確認できました。
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