ソーラーカー用のウィンカー回路を自作することを考えます。今回は、その導入として、ソーラーカー用ウィンカー回路の概要についてやっていきます。
ウィンカー回路の構成要素
ソーラーカー搭載用のウィンカー回路は、このようなことが求められます。
- 低消費電力であること
- 安定して動くこと
- 必要な発光量を確保すること
- 軽量であること
ウィンカー回路は、基本的にこんな要素で構成されます。
電源部
ウィンカー回路を動かすための電源で、制御回路や発光部に電力を供給します。主動力用とは別に用意したサブバッテリや、DC/DCコンバータでまかなわれます。
サブバッテリを使用する場合は、電圧変動範囲に注意する必要があります。その点では、DC/DCコンバータは出力電圧が安定しているため、設計パラメータが減り、設計が楽になります。
矩形波発振部
ウィンカーの点滅信号の元となる矩形波をつくります。ここでつくられた矩形波で電子スイッチを制御して、ウィンカーの点滅を実現します。
点滅周波数は、WGC(秋田大会)2022車両規則によると「60~120サイクル」とあるので、1~2Hzと解釈できます。また、Duty比に規定はないですが、50%でつくられることが多いと思います(たぶん)。
発信回路は、タイマーIC「555」やマイコン、ロジックICやトランジスタによるマルチバイブレータなどで組まれます。
電子スイッチ
前項の矩形波により、発光部に流れる電流の入切を行います。見方を変えると、矩形波信号を増幅している、とも言えます。
素子の選択肢としては、電磁リレー、フォトリレー、MOSFET、トランジスタなどがありますが、MOSFETが最有力候補だと思います。
(関連記事:MOSFETとは? 使い方の基本と動作イメージ)
操作部
ドライバーが操作をする部分で、トグルスイッチなどで構成されます。操作部は、操作方法から2種類に分けることができます。ここでは仮に「方式A」「方式B」とします。
方式A
「方式A」は、ウィンカー用スイッチとハザード用スイッチをもちます。ウィンカースイッチを右に倒すとウィンカーの右が点滅し、左に倒すとウィンカーの左が点滅します。ハザードスイッチをONにすると、ウィンカースイッチの位置に関係なく両灯が点滅します。
この方式の特徴は、一般車と近い操作となることです。しかし、ドライバーにとって、ウィンカーが点滅状態にあるのかが分かりにくいことが多く、消し忘れが発生しがちです。
方式B
「方式B」は、右スイッチと左スイッチがあり、左右のウィンカーを個別に操作します。左右両方のスイッチをONとすれば、ハザードになります。
方式Bの特徴は、方式Aと比べて点滅状態にあるのかドライバーに判別しやすいことです。そんなに違和感なく操作できると思うので、どちらかといえば、こちらがオススメです。
発光部
ウィンカーとして発光する部分で、ソーラーカー用ではLED以外の選択肢はまず無いと思われます。
LEDを選択するうえで、まず形状を選択する必要があります。(砲弾型5φ、3φや表面実装品など)
テールはたいてい薄型であることが求められるので、車体設計者と相談の上サイズを決定しましょう。
LEDでウィンカーを制作するときに注意するべき特性として、「指向性」、「光度」、「順方向電圧Vfのバラツキ」、「温度ドリフト」などがあります。
(関連記事:LEDの基本と使い方)
電流制限部
LEDは許容電流以下で駆動しないと故障します。そのため、何らかの方法で電流を制限する必要があります。
その方法を列挙すると、主にこのようになります。
- 抵抗
- 定電流ダイオード
- JFET
- 三端子レギュレータによる定電流回路
- トランジスタによる定電流回路
- LEDドライバ
(関連記事:LEDに電流制限抵抗が必要なワケ)
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