LTspiceで定電流ダイオード(CRD)のモデルをつくる

2022/07/31

LTspice

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LTspiceでシミュレーションしようとしたら、CRDのモデルがない!?って困ることがありませんか?

LTspiceには、CRDのモデルが用意されていません。そこで、できるだけカンタンにCRDのある回路のシミュレーションをするための、簡易モデルを作りたいと思います。

できるだけ簡単にCRDのモデルをつくる

CRDはゲート・ソース間を短絡したJFETと同じ?らしいので、CRDの代わりにJFETのモデルを利用します。

CRDの代わりにJFETを使う

パラメータの決め方

JFETのゲート・ソース間を短絡し、所望のグラフになるように、JFETのパラメータを設定します。

VtoBetaLambdaの3つのパラメータを、ざっくりこんな具合で設定すれば、そこそこイイ感じ?になります。

パラメータの設定
  • 肩電圧Vk=-Vto
  • 電圧Vk時の電流Ik=(Lambda+1)×Beta×(Vto)^2
  • 1Vあたり(Lambda×Beta×(Vto)^2)だけ電流が持ち上がる

Lambda=0であれば、ペタッとしたキレイな定電流になります。

なので、まずはVtoを決めて、Lambda=0で考えてBetaの値を決めます。その後、Lambdaでどれだけ電流を持ち上げるかを決めます。そして、Lambdaで持ち上がった分だけBetaを再調整する、といった流れでパラメータを設定していきます。

実際の素子「E-102」の簡易モデルを考える

今回は、SEMITECの「E-102」をモデル化してみます。E-102のスペックはこちら。

スペック
  • SEMITEC(石塚電子)E-102
  • Ip=1.00mA(0.88mA~1.32mA)@10V
  • Vk=1.7V Ik=0.8Ip(min)

各パラメータを考えていきます。

肩電圧を1.7Vとしたいので、

Vto

一定となる電流値を1.00mAとしてBetaを考えると、

Betaの計算

1V増えるごとに電流が0.005mA増えるものとすると、

Lambda

よって、Ikは

Ik

ちょっと電流が大きめなので、気持ちBetaを下げて、Beta=3.32×10^-4とすると

Ik再計算

Beta=3.32×10^-4のときに、1Vごとに増える電流値は

1Vごとに増える電流値の再計算

となりました。

まとめると、

パラメータ
  • Vto:-1.7
  • Beta:3.32×10^-4
  • Lambda:0.005

LTspiceで「E-102」のシミュレーションをする

実際にLTspiceでCRD「E-102」のシミュレーションをしてみます。

LTSPICEでCRD_画面

回路図エディタで上図のように書いて、「.op」をクリックします。

LTSPICEでCRD_画面2

でてくる画面のなかに、「.model E-102 NJF(Vto=-1.7 Beta=0.332m Lambda=0.005)」と記述します。

LTSPICEでCRD_画面3

ポイントは、CRDとして用いるJFETシンボルの名前と.modelで記述した名前を合わせることです。

このモデルでシミュレーションを実行(電圧源V1をスイープ)すると、こんな波形が得られます。

E-102のシミュレーション結果

狙った波形になっています。

因みに、オリジナルのシンボルを作ったりすると「かっこいい」ですが、まあこれくらいなら無くてもいいか、と思ったので作ってません。

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