(前回記事:LEDの電流制限などに使える お手軽定電流回路(1)CRD&JFET編)では、CRDとJFETによる定電流回路を紹介しました。今回は、その続きとして「三端子レギュレータ」による定電流回路を紹介します。
三端子レギュレータによる定電流回路
三端子レギュレータは、定電圧をつくるのに便利な定番素子ですが、定電流出力にすることもできます。
三端子レギュレータによる定電流回路は、CRDなどと比較して、大きな電流を出力できます。
三端子レギュレータはGND→OUT間の電圧が一定となるように制御します。図のように接続すると、GND→OUT間の電圧は抵抗による電圧降下の電圧となります。つまり、抵抗による電圧降下が一定になるように、三端子レギュレータが制御することになるので、電流が一定となります。
厳密には、一定となるのはIout(三端子レギュレータの出力電流)ですが、Iout≒Iinなので、Iin(三端子レギュレータの入力電流=LEDに流れる電流)もだいたい一定になります。
電流値は、この式で求まります。
(例)5V出力の三端子レギュレータを用いて、R=68Ωのとき、電流値は上の式より
となります。
実際に5V出力の三端子レギュレータ「L78L05ACZ」と68Ωを用いて実験してみました。結果はこちら。
上のグラフの横軸"電圧[V]"は三端子レギュレータのin~GND間の電圧です。グラフより、この回路で定電流とするには、約6.5V程度の電圧を定電流回路にかける必要があることが見て取れます。
三端子レギュレータによる定電流回路では、三端子レギュレータの出力電圧+1.5V程度の電圧が必要です(1.5Vは三端子レギュレータの飽和電圧)。そのため、出力電圧が低い三端子レギュレータのほうが必要な電圧が小さくて済みます。低飽和電圧タイプ(低損失タイプ)だと更に必要な電圧が減ります。
可変三端子レギュレータ(LM317など)による定電流回路
定電流回路による電圧ドロップが大きいと、損失が大きくなる、LEDにかけられる電圧が減る(より高い電源電圧が必要になる)といったデメリットがあります。
この定電流回路による電圧ドロップを小さくするために、可変型の三端子レギュレータ(LM317など)を使うのが定番です。
LM317は、内部参照電圧が1.25Vとなっていて、ADJ→OUT間の電圧が1.25Vとなるように制御します。そのため、上図のように接続すると、抵抗による電圧降下が1.25Vとなるような電流に制御されます。
一定となる電流値はこの式で求まります。
(例)可変三端子レギュレータ「LM317」を用いて、R=18Ωのとき、電流値は
です。
実際にLM317と18Ωで実験してみました。
上記のグラフの横軸の"電圧[V]"は、可変三端子レギュレータのin~ADJ間の電圧です。グラフより、この回路で定電流にするには3V程度の電圧が必要なことが分かります。固定電圧出力タイプの三端子レギュレータによる定電流回路と比較して、電圧ドロップが小さくて済むため、使いやすい回路となっています。
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