ソーラーカーによくある質問6つ

2022/06/19

システム・全般

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ソーラーカーによくある質問6つ

ソーラーカーに携わると、必ずといっていいほど受ける「あるある」な質問があります。

多くの人が感じる疑問のポイントなのかな?と思ったので、質問とそれに対する回答という形にしてみました。ちなみに、回答内容は私見です。ちがう意見も大いにあると思いますので、そこはご了承ください。

1. なんであんな変な形なの?

発電と空力のバランス、あとはレギュレーション(競技ルール)との兼ね合いで最適化を模索した結果、あんな形になってます。

車の形が、なるだけ平らのほうが発電は有利で、流線形でなめらかな形状になるだけ空力は有利。車体が大きいほうが発電には有利だけど、小さいほうが空力は有利。また、ドライバーの目線位置や乗車姿勢の規定、車体の大きさなどのレギュレーションを満たす必要もあります。

そんな中で、それらの色々な条件の最適と思われるいい感じのバランスをとったら、あの「不思議なカタチ」に結果的になっちゃった、といった感じです。

2. ソーラーカーって、ひとりしか乗れないし、荷物も載らないし、実用性ゼロだよね?

国内にある、ほとんどのソーラーカーは競技(レース)を目的に作られている、というのが原因と思われます。実用性にリソースをほぼ全く振り分けていません。

できる限り少ない電力で速く走るのを突き詰めていったら、こんなモノになっちゃった!という感じです。なので、「荷物が載らない」どころか、ドライバーが乗り込むのも大変だったりします。

実用性に焦点を当てて作れば、全く違ったものができるはずです。とはいえ、普通の車のようには、恐らくならないでしょう。実用性に特化したソーラーカーは、それはそれで「変なモノ」が出来上がりそうです。

3. ソーラーカーって、実際のところバッテリで走ってるんでしょ?

ソーラーパネルなど飾りです。エライ人にはそれが分からんのですよ。

というのは冗談で、太陽電池の発電電力で走っています(競技用のものは)。走りながら発電して、その電力で走ります。発電電力と走行電力がつりあうようにできていて、バッテリは加速や登坂等の一時的な変動を吸収するための「バッファ」のような役割を担っています。

そのため、晴れている間は、外部補給なしで走り続けることができます。Topチームだと、100km/hで延々と走り続けます。一日600kmとか平気で走ります(もちろん外部からの充電なしの自給自足で)。

といいつつ、国内のレースで一番有名だった「ソーラーカーレース鈴鹿」のレースは、競技時間が短いので、半分くらいはバッテリによる電力で走っていた?(だったかな?)ような気もしますが...。秋田やオーストラリアなどは競技時間・距離が長いので、ほぼ太陽電池による発電電力のみで走ることになります。

4. 曇りや雨の日はどうするの?

レース日程は変わらないので、そのまま競技をします。搭載しているバッテリは小容量ですが、基本的には、そのバッテリでなんとかすることになります。

消費電力を抑えるために低速で走りつつ、晴れ間を待つ。とか、「天候の読み」と「他チームとの駆け引き」が勝敗を決するようなレースになります。

5. ソーラーカーはなぜ市販化・実用化されないの?

「普通の車」をイメージすると、消費エネルギーが大きすぎて、発電量と消費量がとても釣り合いません。

発電で補助する(バッテリが減るスピードを遅らせる)、というイメージならいけるかもしれません。その場合は、ソーラー発電による航続距離の増加分と、価格との兼ね合いで、消費者に選ばれるかどうか、といったところです。オプションとしては面白いかもしれません。

ただし、車体にソーラーパネルを搭載した場合、屋根のある車庫にいれると発電しません。たいていの車は走ってる時間よりも、止まっている時間のほうが長いと思います。車庫に入っている時間は発電しないため、走行している間に発電するであろう電力分だけ、余分にバッテリ積んだほうが合理的かもしれません。

そんなことを考えていくと、ソーラー電力で充電するEVのほうが現実的に思えてきます。これなら充分実用に耐えられそうです。家の屋根で発電して、その電力をクルマに充電して、それで走れば実質ソーラーカー!と言えなくもない、かな?

6. 将来的にソーラーパネルの変換効率が良くなれば、実用的ソーラーカーは実現できる?

絶対にムリ!とは言いませんが、なかなか難しいと思います。

太陽光のパワーは、地表で1m^2あたり1kWくらいです。太陽電池はこのパワーをどう効率よく電気に変えるか?という話なので、どんなに技術が進んでも1m^2あたり1kW以上発電することはありません(エネルギー保存則)。

普通の車をイメージすると、太陽電池の搭載面積は、いいとこ5m^2程度ではないかと思います。そのため、どんなに技術が進もうとも、5kW以上の発電電力は見込めません(太陽電池の変換効率が100%でも5kW)。これ以下の電力でやりくりできる程度に、クルマの電力損失が下がれば可能ですが、なかなか厳しそうです。クルマを使う(走らせている)時間と、停車して発電だけさせている時間(発電電力でひたすら充電させる)との割合によっては可能性があるかも?といった印象です。

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