LEDには、電流制限抵抗が必要です。この電流制限抵抗の値は、どうやって決めたらよいのか?が今回のテーマです。では、早速やっていきます。
電流制限抵抗の値の求め方
このような回路を想定して、電流制限抵抗の決め方を考えます。LEDの直列数は3つに限らず、任意の数でOKです。
STEP1:typ値で、抵抗値の目星をつける
まず、typ値(代表値)を使って、抵抗値の目星をつけます。
R:電流制限抵抗値
E:電源電圧
VF:LEDの順方向電圧
s:LEDの直列数
I:流したい電流値
E系列の中から、上の式から計算された値に近いものを選びます(仮採用)。
STEP2:電流の変動範囲を確認する
STEP1で仮採用した抵抗値を使って、電流値を計算します。
I:流れる電流値
E:電源電圧
VF:LEDの順方向電圧
s:LEDの直列数
R:電流制限抵抗値
抵抗の誤差(±5%など)、電圧変動、VFバラツキ、温度特性などを考慮して、最大電流値と最小電流値を求めます。この時の計算には、それぞれの一番厳しい条件の値を使います。高温時と低温時の係数は、温度によるVF変動の係数で、データシートから大体の値を算出して使用します。
計算結果の値で問題なさそうであれば、抵抗値をその値で決定して、STEP3へ進みます。
電流の値が大きすぎる、小さすぎる時には、抵抗値を調整して再計算します。
電流の変動範囲が大きすぎる、電源電圧が不足する、などの場合は、条件を変更する必要があります。
対策としては、
- 電源電圧の安定化
→ 電源電圧変動による影響を小さくする - LEDの直列数を減らす
→ VFのバラツキや変動の影響を小さくする - VFを全数検査して使う
→ VFを実測して、実測値で設計する。VFバラツキ分を検討から外す - Rの誤差が小さいものを使う
→ Rのバラツキの影響を減らす - Rを全数検査して使う
→ Rを実測して、実測値で設計する。Rのバラツキ分を検討から外す
といった内容が挙げられます。これらの対策を実施して、再度計算します。
これらの対策を行っても、どうにも成り立ちそうにない場合は、抵抗による電流制限をあきらめて、定電流ダイオードや定電流回路による電流制限を検討する必要がありそうです。
STEP3:抵抗の電力を確認する
最後に、抵抗の電力を確認します。
抵抗は、この値以上の定格のものを採用します。
具体的な計算例
記号だけで話をすると、分かりにくいと思うので、具体的な数字を用いて計算してみます。
こんな条件で、考えていきます。
- 電源電圧:12V(min:11.95V、max:12.05V)
- LEDの順方向電圧:2.1V(typ)、1.9V(min)、2.6V(max)
- LEDの順方向電流:20mA(typ)、絶対最大定格:50mA
- LEDの直列数:5
- 抵抗はカーボン抵抗。誤差±5%
- 使用温度は25℃~50℃、温度係数は25℃:1、50℃:0.97
STEP1:typ値で、抵抗値の目星をつける
E系列に"75Ω"があるので、抵抗値は75Ω(±5%)とします。
STEP2:電流の変動範囲を確認する
Iminの条件では、電源電圧が不足する(分子が負となる)ので成立しません。
そこで、LEDの順方向電圧を全数検査することとします。使用する5つのLEDのVFがそれぞれ2.1V,2.0V,2.2V,2.25V,2.05Vだったとして、この値で再計算します。
この値を(VF×s)として計算に使用します。
大体狙った値(20mA)近くになり、変動範囲も許容できそうです。ということで、この値で決定し、STEP3へ進みます。
STEP3:抵抗の電力を確認する
上記の計算より、よくある1/4W(=0.25W)定格の抵抗で問題ないことが分かりました。
計算結果
LEDのVFは2.1V,2.0V,2.2V,2.25V,2.05V。これを使用するとすれば、電流制限抵抗は75Ω(±5%、1/4W定格)と計算されました。
同じ構成のものを、もう1セットつくる時には、再度VFを検査して、そのVFの値で再計算する必要があります。(VFを全数検査することでバラツキを検討から外した代償)
番外編:LEDの順方向電圧の実測方法
LEDの順方向電圧VFを実測する方法の紹介です。
使用するときに流す予定の電流を、CVCC電源のCCモードでLEDに流します。その時の電圧が(その電流値での)LEDの順方向電圧です。
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