太陽電池のI-Vカーブを実際に見てみるには、どうしたらいいのか?
そんなことを思って、太陽電池の簡易I-Vカーブ取得器を製作して、実際にI-Vカーブを取得してみました。今回は、そんなお話です。
太陽電池のI-Vカーブの取得のしかた
太陽電池のI-Vカーブは、その太陽電池の動作点の集合体です。負荷抵抗を∞→0までスイープさせて、それぞれの点での電圧と電流を測り、プロットすると、I-Vカーブが出来上がります。ほかの条件(日射とか)が変化しないうちに取得するのがポイントです。
今回は、MOSFETを負荷抵抗として使用することにします。MOSFETは、Vgsの値によってRonが変化します。これを利用して、Vgsをスイープすることで抵抗値をスイープします。
(関連記事:MOSFETとは? 使い方の基本と動作イメージ)
太陽電池のI-Vカーブの取得器の製作
こんなかんじのものを作りました。
- 負荷はMOSFET
- ゲート電圧のスイープは手動
- データの収集はデータロガーで実施
- 電池駆動
MOSFETは5Vドライブ可能な「FKI10531」を使いました。ゲート電圧は、電源電圧を可変抵抗(ボリューム抵抗)により分圧して供給しています。ボリューム抵抗の開度(開き具合)でゲート電圧が変化して、ドレイン-ソース間の抵抗値が変化します。
電流は、不燃性酸化金属皮膜抵抗1Ω(3W)をシャント抵抗として用い、両端電圧によって計測します。
接続可能な最大電圧は、使用したMOSFET「FKI10531」の耐圧が100Vのため、85%とすると85V程度です。
また、最大電流は、電流検出抵抗(1Ω,3W)より
最大約1.7A、ディレーティングを考慮すると1.5A程度(2.25W)です。
最大電力は、MOSFET「FKI10531」より
およそ2.7Wです。
(関連記事:カンタンな熱計算のやり方(2)ヒートシンクをつけた時)
外観はこんなです。
基板を用いず、空中配線で構成してます。テキトー感満載!?
型番 | 値 | 入手先 | |
N-ch MOS-FET | FKI10531 | 100V 18A | 秋月 |
不燃性酸化金属皮膜抵抗 | 1Ω 3W | 秋月 | |
可変抵抗 | 10k Bカーブ | ||
電池ケース | 単3 | 秋月 | |
DC-DCモジュール | 0.9V→5V | Amazon | |
ワニ口クリップ(赤) | |||
ワニ口クリップ(黒) | |||
ヒートシンク | |||
コネクタ | 4P | ||
プラケース | SK-5 | 秋月 |
太陽電池のI-Vカーブの取得
製作したI-Vカーブ取得器を使って、太陽電池のI-Vカーブを取得してみました。
実験時刻11:30頃、日射強度は定格比90%。日射強度は(簡易日射計を自作してみた (どれくらい発電するかを概算!))で測りました。
I-Vカーブを取得する太陽電池はこちら。たまたま家にあったものです。スペック不明です。
I-Vカーブ取得器に太陽電池とデータロガーを接続します。データロガーのサンプリングは100ms毎と設定して、"RUN"としてから、I-Vカーブ取得器のボリューム抵抗をゆっくりとまわして(ぐりぐりと複数回往復して)データを取得します。
取得したデータは、あとでスプレッドシート上でI-Vカーブにします。
さて、取得したデータをグラフ化すると、こんなカーブになりました。
青色プロットがI-Vカーブ、ピンク色プロットがP-Vカーブです。
テストに使用したモジュールの電圧は1.3V程度(最大電力点付近)、最大電力は0.45W、定格換算で0.5W程度ということが分かりました。
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