MOSFETとは? 使い方の基本と動作イメージ

2022/03/20

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DC/DCコンバータやモータコントローラなどの電力変換器では、MOSFETが重要な部品です。

個人が扱うあたりの電圧では、MOSFETが主力のスイッチング素子になると思います。

今回は、MOSFETについて、電子デバイスとしての構造や原理はすっ飛ばして、使用するにあたっての使い方・動作イメージについてやっていきたいと思います。

MOSFETの動作イメージの解説の前に

MOSFETは、ゲート(G)、ドレイン(D)、ソース(S)の3つの端子をもつ素子です。

見た目は、よくある3本足のパッケージだとこんな感じです。(最近はいろいろな形(パッケージ)があります。)

MOSFET外観

型番が印字されている面からみて、左からゲート、ドレイン、ソースの端子です。しかし、必ずそうなっているとは限らないので、データシートを確認しましょう。

データシートは、型番を検索すれば大抵pdfで出てきます。こんな感じのやつです。データシートは、欲しい情報がたくさん載っている超重要な文書です。

データシートの例

MOSFETには大きく分けて、nチャネル型とpチャネル型の2種類があります。それぞれの回路記号はこんなです。

MOSFETの回路記号

pチャネル型と比べて、nチャネル型の方が出番が多い(?)、かつ、分かりやすいと思うので、以降はnチャネルのMOSFETで解説を進めていきます。

MOSFETはスイッチ

MOSFETをどう使うか、MOSFETをどう認識するか。その基本は電子スイッチだと思います。

MOSFETをスイッチとして扱うとき、こんなイメージでMOSFETをとらえています。

MOSFETはスイッチ

このスイッチの開閉を、ゲート・ソース間の電圧で行います。

MOSFETのゲート・ソース間電圧Vgs

ゲート・ソース間電圧Vgs=0のとき、ドレイン・ソース間の抵抗値は非常に大きくなります。この状態はスイッチOFFとみなせます。ゲート・ソース間電圧Vgsが十分に大きいと、ドレイン・ソース間の抵抗値が非常に小さくなります。この状態がスイッチONです。

MOSFETのON/OFF

このように、MOSFETはゲート・ソース間の電圧によってON/OFFが操作できる電子スイッチととらえることができます。

MOSFETが"ON"となるゲート・ソース電圧Vgsは、素子によって違うので、データシートをよく確認しましょう。10Vくらいで充分"ON"になるものもあれば、5Vくらいで充分"ON"になるものもあります。

スイッチがON状態の時にドレイン・ソース間に残る抵抗値のことをON抵抗といいます。もちろん、小さい方がうれしいパラメータです。

注意点1

ゲート電圧はあくまで「ゲート・ソース間の電圧」なので注意が必要です。ハーフブリッジのHigh SideのMOSFETは、GNDからみると、(中間電圧Vm+ゲート・ソース間電圧Vgs)の電圧をゲートに加える必要があります。

ハイサイドのMOSFETのゲート電圧

注意点2

ソース→ドレイン方向へはダイオードがあるため、電流を遮断することができません。Vgs=0の時でも、ソース→ドレイン方向はダイオードを通じて電流が流れます。

ソース→ドレイン方向はダイオードを通じて電流が流れる

MOSFETは可変抵抗

前節では、MOSFETをスイッチとみなしましたが、MOSFETは可変抵抗とみなすこともできます。

スイッチとして使うときには、MOSFETが充分にONとなる電圧をゲート・ソース間にかけます。それに満たない電圧をゲート・ソース間にかけた場合には、ドレイン・ソース間は充分にON状態とならず、それなりに抵抗値が残ります。この抵抗値はゲート・ソース間にかけた電圧によって変化するので、MOSFETはゲート・ソース間電圧によって抵抗値が変わる可変抵抗ともいえます。

MOSFETは可変抵抗

ゲート・ソース電圧が小さいほど抵抗値は大きく、ゲート・ソース電圧が大きいほど抵抗値は小さくなります。

ゲート電圧と抵抗

この特性を用いて、MOSFETを電子負荷として利用したりします。

ゲート・ソース間はコンデンサのイメージ

MOSFETのドレイン・ソース間はスイッチ、または可変抵抗のイメージでしたが、ゲート・ソース間はコンデンサのイメージです。

MOSFETのゲート・ソース間はコンデンサのようなもの

ゲート・ソース間に電圧をかけると、この"コンデンサ"が充電されます。それによってゲート・ソース間電圧Vgs(=コンデンサ電圧)が上昇します。ゲート・ソース間の電圧が上昇するにつれて、ドレイン・ソース間がONとなって(抵抗値が下がって)いきます。

このコンデンサの容量は小さいので、高速に充放電が可能です。なので、MOSFETは高速にスイッチングができます。(すばやくONにできるし、すばやくOFFにできる)

また、"コンデンサ"なので、充電してから回路を切り離しても、電荷は貯まったままです。つまり、ゲート・ソース間電圧Vgsは維持され、MOSFETはON状態のままとなるので注意が必要です。

MOSFETのゲート・ソース間はコンデンサなので、電荷があるうちはON状態を維持する

まとめ

  • MOSFETはゲート・ソース間電圧でON/OFFを制御できる「スイッチ」
  • MOSFETはゲート・ソース間電圧で抵抗値が変わる「可変抵抗」ともいえる
  • MOSFETのゲート・ソース間はコンデンサのようなもの
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