MPPTとは?どういうものか、ざっくりと解説

2022/02/27

パワエレ 太陽電池

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太陽電池は、常に最大電力点で動作させると、能力をフルに発揮することができます。そこで、太陽電池を最大電力点で動作させるために「MPPT」というものを使います。

今回は、この「MPPT」についてやっていきたいと思います。

MPPTとは?

MPPTは、Maximum Power Point Trackerの略で、最大電力点追従装置、最大電力点追従回路などと訳されます。

実際の「モノ」に注目するのではなく、その機能(制御)に注目した場合は、Maximum Power Point Tracking、最大電力点追従制御と呼ばれたりします。

とりあえずここでは、「モノ」としてのMPPTを考えることにします。(制御も含まれるので)

さて、MPPTとはどういうものか?というと、MPPTの正体は、DC/DCコンバータです。MPPTとDC/DCコンバータは、回路としては同じものです。

それでは、何が違うのか?というと、制御が違います。

  • DC/DCコンバータ → 出力電圧が一定となるように制御する(大抵は)
  • MPPT →(入力)電力が最大となるように制御する

ということで、MPPTとは、「入力電力が(入力には太陽電池が接続されるので、太陽電池の電力が)最大となるように制御するDC/DCコンバータ」のことです。

想定回路とMPPTによる電力変換

今回MPPTについて考えるにあたって、想定している回路はこんな感じです。

太陽電池とMPPTとバッテリの組み合わせ

太陽電池にMPPTを接続し、MPPTの出力にはバッテリを接続しています。これは独立型のシステムで、よくあるカタチです。

それぞれの電圧・電流の関係を考えてみます。

太陽電池の出力電圧をVs、太陽電池の出力電流をIsとすると、太陽電池の出力電力はPs=Vs×Isです。これがMPPTの入力電力でもあります。この入力電力をMPPTが電圧・電流の比を変えて(ただし電力の大きさはほぼ同じ)バッテリへ渡します。

MPPTによる電力変換

MPPTが、入力とは異なる値の出力電圧と出力電流を作り出すというのは、確かにその通りなのですが、積極的にそう制御しているわけでもありません。

実際のところ、MPPTは、太陽電池の電力が最大となるように制御しているので、出力は制御しません。MPPTの出力にバッテリが接続されているので、MPPTの出力電圧はバッテリ電圧とならざるを得ず、入力電力=出力電力となるように、バッテリ電流が決まる、というか勝手にそうなる。といった感じです。

MPPTの入出力電流・電圧

とは言え、たいていバッテリが過充電とならないように、最大出力電圧をリミットするようにしてあります。この場合は、これ以上バッテリ電圧が上がらないように、太陽電池の発電を止めるような動きになります。

MPPTで太陽電池の動作点を操作する方法

さて、MPPTはどうやって太陽電池の動作点を操作するのか?について考えていきます。

MPPTは回路としてDC/DCコンバータで、昇圧チョッパによる昇圧型、降圧チョッパによる降圧型があります。(他にもありそうですが、ここでは省略)

昇圧型・降圧型共に、このような関係があります。

  • dutyをきくする → 太陽電池からすると、電流が流れやすくなる → 負荷抵抗が
  • dutyをさくする → 太陽電池からすると、電流が流れにくくなる → 負荷抵抗が
  • Vbがきくなる → 太陽電池からすると、電流が流れにくくなる → 負荷抵抗が
  • Vbがさくなる → 太陽電池からすると、電流が流れやすくなる → 負荷抵抗が

dutyはMPPTのスイッチングのduty比、Vbはバッテリ電圧です。また、負荷抵抗は、太陽電池が"感じる"疑似的なもの(電流が多く引き出されると、小さな負荷抵抗がつながっているように感じる)です。

(dutyについては → PWM制御とは? PFM制御とは? (スイッチングの発想)

太陽電池からみえる負荷抵抗

バッテリ電圧はバッテリの状態で決まるので、MPPTが決められる値ではありません。なので、MPPTはdutyを上げ下げすることによって、太陽電池にとっての疑似的な負荷抵抗を変化させ、動作点を操作します。

MPPTと動作点

別の視点(MPPTを電圧源として考える場合)

MPPTが太陽電池の動作点を操作する方法を、疑似的な負荷抵抗で考えたのが、上記の動作イメージでした。ここでは、別の角度からみてみたいと思います。(果たしてどっちの方が分かりやすいでしょうか?)

「別の視点」とは、MPPTがMPPTの入力側(太陽電池の出力)に電圧を作り出し、太陽電池はそのMPPTが作り出す電圧で決まる点で動作する、という考え方です。

MPPTを電圧源として考える
電圧で動作点を操作する

MPPTが作り出す入力側電圧は、MPPTの入出力電圧とdutyの関係から求めることができます。

降圧型の時と、昇圧型の時、それぞれこんな感じになります。

降圧チョッパの入力電圧
昇圧チョッパの入力電圧

MPPTの制御(山登り法)

MPPTは、どうやって太陽電池の最大電力点を探し出すのか?について紹介していきます。

最大電力点を探す方法は、色々とやり方がある(らしい)のですが、分かりやすくてシンプルな「山登り法」がメジャー(?)なのかなと思います。

太陽電池の出力電力と電圧の関係(P-Vカーブ)は"山"のような形になります。最大電力点は"山"の頂上です。

太陽電池のP-Vカーブ

この"山"を登って、頂上を目指すのが「山登り法」です。どうやって頂上を目指すのかというと、登っている(=電力が増えている)方向へ進む というやり方です。

山登り法 "一歩"進んでみて、
  • 登っている → 頂上へ向かっているので、その方向へ進むことを継続。
  • 下っている → 頂上へ向かっていないので、進む方向を逆にする。

フローチャートにすると、こうなります。

山登り法フローチャート

もう少し具体的な動きを考えると、こんな感じです

山登り法

まず(1)の位置にいたとして、太陽電池電力を測ります。動作点を"一歩"左へ動かして(2)へ移動します。

(2)の位置での太陽電池電力を測り、前回値(つまり(1)での値)と比較します。電力は増えているので、進む方向は変えません。動作点を"一歩"左へ動かして(3)へ移動します。

(3)の位置でも(2)の時と同様となって、動作点を"一歩"左へ動かして(4)へ移動します。

(4)の位置での太陽電池電力を測り、前回値と比較すると、電力は減っています。そのため、進む方向を右に変更します。動作点を"一歩"右へ動かして(5)へ移動します。

(5)の位置では、前回値と比較して太陽電池電力が増えているので、そのまま"一歩"右へ移動することになります。

といった感じに、常に動き続ける(動作点を変え続ける)ことで、日射や温度の変化でP-Vカーブが変化しても、その時その時での最大電力点付近で動き続けることを狙うのが「山登り法」です。

まとめ

  • MPPTは入力電力が最大となるように制御するDC/DCコンバータ
  • MPPTはdutyによって太陽電池の動作点を操作する
  • 最大電力点を追従する方法に「山登り法」がある
  • 山登り法は、太陽電池の電力が増える方向へ動作点を動かし続ける、という手法
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