三端子レギュレータとは? 基本回路と動作イメージ

2021/11/29

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定電圧電源の定番素子「三端子レギュレータ」。実験・試験用の電源装置にも、オンボード電源(基板上での電圧生成)にも非常に有用です。安くてカンタン、超便利。今回は「三端子レギュレータ」について、やっていきます。

三端子レギュレータとは?

三端子レギュレータは、高い電圧から「安定な」低い電圧をつくることができる電源ICです。たいていはトランジスタのような3本足の外観をしています。

三端子レギュレータ概念図

三端子レギュレータの基本回路

三端子レギュレータの基本回路図

三端子レギュレータの基本回路はこんな感じです(正電圧出力)。三端子レギュレータの他には、コンデンサを2つ、保護ダイオード1つの、とてもシンプルな回路です。

入力側と出力側のGNDは直接つながっているため、絶縁はされていません。

また、三端子レギュレータは「出力端子の電圧 > 入力端子の電圧」となると壊れてしまう(こともある)ので、それを防ぐために保護ダイオードを接続します。保護ダイオードには、順方向電圧(Vf)の小さいショットキーバリアダイオード(SBD)が良いかと思います。

入力電圧よりも低い電圧を出力するのが三端子レギュレータなのに、入力端子の電圧よりも出力端子の電圧の方が高くなる、なんてことがあるのか?と思われるかもしれません。

そのようなことが起こる典型的な状況は、入力電源を停止したときです。負荷状況や接続されるコンデンサ容量バランス等によって、出力のコンデンサ電圧よりも入力のコンデンサ電圧が先に低下すると、上記の「出力端子の電圧 > 入力端子の電圧」の状況になってしまいます。

三端子レギュレータの動作イメージ

三端子レギュレータの動作イメージは、「入力電圧から、出力電圧を削り出す」といった感じです。

三端子レギュレータの動作イメージ

そのため、出力電圧は入力電圧より低い電圧となります。そして、出力電圧を削り出すための「削りしろ」が必要となります。この削りしろは、通常少なくとも1V~2V程度は必要です。この最低限必要な削りしろが0.5V程度と小さいものを「低損失タイプ」、「低飽和タイプ」などと呼ばれています。ちなみに、この「最低限必要な削りしろ」は「ドロップアウト電圧」といいます。

最低限必要な削りしろ

削りとった電圧はどこへ行くのか?というと、全て三端子レギュレータが受け持つことになります。

それでは、三端子レギュレータは、どのように電圧を削り取るのでしょうか?三端子レギュレータの、もう少し回路的な動作イメージは「分圧回路」です。

三端子レギュレータの動作イメージ(分圧回路)

図中のオレンジ色の可変抵抗部分が三端子レギュレータ(イメージ)です。三端子レギュレータは、負荷電流や入力電圧に応じて、抵抗値を変化させることで、出力電圧を一定に保つ、という動作イメージになります。またそのため、三端子レギュレータには(Vin-Vout)の電圧がかかります。これが三端子レギュレータが「削りとった電圧」です。

三端子レギュレータの損失

三端子レギュレータを使用する上で、三端子レギュレータの損失に気をつけておく必要があります。

三端子レギュレータの損失

定常状態と考えて、コンデンサへ電流は流れないとすると、入力電流Iin=出力電流Ioutとなります(三端子レギュレータの動作電流は無視する)。すると、三端子レギュレータの損失は、

P=(Vin-Vout)×Iin

となります。

入力電圧と出力電圧の差が大きいと、損失が大きくなり、三端子レギュレータの発熱も大きくなりがちです。その場合はヒートシンクによる放熱が必要です。

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