テスタで実装済みの抵抗をはかると、値がおかしいのはナゼ?

2021/06/14

テスタ

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基板に実装状態の抵抗を、テスタの抵抗レンジで測ったとき、値が思っていたのと違う!(もしや壊れた!?)なんて思ったこと、ありませんか?

今回は、この「基板に実装済みの抵抗を、テスタで測ると値がおかしい」のワケを解説していきたいと思います。

テスタの抵抗測定モードの測定原理

まず、テスタには「デジタルテスタ」と「アナログテスタ」があります。基本構造として、

●デジタルテスタ → 電圧計
●アナログテスタ → 電流計

となっているようです。(周波数など、これに当たらない測定モードもあると思います。)
どういうことかというと、デジタルテスタでは電流・抵抗も「電圧」として測定をしているということです。

個人的にあまりアナログテスタに馴染みがないので、基本的にデジタルテスタ想定で述べていきます。

デジタルテスタの抵抗測定モードの測定原理は、

ある一定の電流を流して、その電圧降下を測定する

というものです。測定した電圧降下と流した電流の値から、オームの法則によって抵抗値を算出します(R=V/I)。

テスタで抵抗をはかる

さて、もう少し具体的に考えていきましょう。まずは、抵抗単体で測るときを考えてみます。

単体R測定

回路図にすると、こうなります。

抵抗測定原理

測定電流Isは、テスタが出力する一定の電流で、その値をテスタは把握しています。そのため、その測定電流によって生じた電圧降下を測定して、抵抗値を算出することができます。図中のように、Is=1mAの場合、測定電圧が1VであればR=1kΩ、0.1Vであれば100Ωと計算できます。

これらの計算をテスタが行い、液晶などに「1kΩ」「100Ω」と表示させるわけです。

テスタで実装済みの抵抗をはかる

本題の「基板に実装済みの抵抗をはかる」というのはどういうことか、を見ていきたいと思います。

実装済み抵抗測定

今回、測りたい抵抗は、基板に実装されているため、基板上の回路に接続されています。そのため、プローブを当てた時に出来る回路はこのようになります。

抵抗測定誤差原理

テスタから出力される測定電流Isが、プローブを当てた点から、抵抗R以外の「基板上の回路」にも流れ込みます。

図中のように、測定電流Is=1mA、基板上の回路に流れ込む電流Ia=0.2mA、R=100Ωだったとすると、測定される電圧は、(1mA-0.2mA)×100Ω=80mVとなります。テスタはこの測定値を用いて、抵抗値をR=80mV/1mA=80Ωと計算します。正しい値は100Ωなので、値がズレています。

その理由は、デジタルテスタの抵抗モードには、

測定電流Isは、全て測りたい抵抗に流れる

という前提があるためです。

つまり、

テスタの測定電流が、他に漏れた分だけ誤差がでる。

ということです。

また、基板に実装済みの抵抗をテスタではかる、というのは

測りたい抵抗R単体ではなく、抵抗Rと"つながってる回路"の並列合成抵抗を測っている

とも言えます。

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