基板に実装状態の抵抗を、テスタの抵抗レンジで測ったとき、値が思っていたのと違う!(もしや壊れた!?)なんて思ったこと、ありませんか?
今回は、この「基板に実装済みの抵抗を、テスタで測ると値がおかしい」のワケを解説していきたいと思います。
テスタの抵抗測定モードの測定原理
まず、テスタには「デジタルテスタ」と「アナログテスタ」があります。基本構造として、
●アナログテスタ → 電流計
となっているようです。(周波数など、これに当たらない測定モードもあると思います。)
どういうことかというと、デジタルテスタでは電流・抵抗も「電圧」として測定をしているということです。
個人的にあまりアナログテスタに馴染みがないので、基本的にデジタルテスタ想定で述べていきます。
デジタルテスタの抵抗測定モードの測定原理は、
ある一定の電流を流して、その電圧降下を測定する
というものです。測定した電圧降下と流した電流の値から、オームの法則によって抵抗値を算出します(R=V/I)。
テスタで抵抗をはかる
さて、もう少し具体的に考えていきましょう。まずは、抵抗単体で測るときを考えてみます。
回路図にすると、こうなります。
測定電流Isは、テスタが出力する一定の電流で、その値をテスタは把握しています。そのため、その測定電流によって生じた電圧降下を測定して、抵抗値を算出することができます。図中のように、Is=1mAの場合、測定電圧が1VであればR=1kΩ、0.1Vであれば100Ωと計算できます。
これらの計算をテスタが行い、液晶などに「1kΩ」「100Ω」と表示させるわけです。
テスタで実装済みの抵抗をはかる
本題の「基板に実装済みの抵抗をはかる」というのはどういうことか、を見ていきたいと思います。
今回、測りたい抵抗は、基板に実装されているため、基板上の回路に接続されています。そのため、プローブを当てた時に出来る回路はこのようになります。
テスタから出力される測定電流Isが、プローブを当てた点から、抵抗R以外の「基板上の回路」にも流れ込みます。
図中のように、測定電流Is=1mA、基板上の回路に流れ込む電流Ia=0.2mA、R=100Ωだったとすると、測定される電圧は、(1mA-0.2mA)×100Ω=80mVとなります。テスタはこの測定値を用いて、抵抗値をR=80mV/1mA=80Ωと計算します。正しい値は100Ωなので、値がズレています。
その理由は、デジタルテスタの抵抗モードには、
「測定電流Isは、全て測りたい抵抗に流れる 」
という前提があるためです。
つまり、
ということです。
また、基板に実装済みの抵抗をテスタではかる、というのは
測りたい抵抗R単体ではなく、抵抗Rと"つながってる回路"の並列合成抵抗を測っている
とも言えます。
(PR)
0 件のコメント:
コメントを投稿