今回は「キルヒホッフの法則」について解説していきたいと思います。
キルヒホッフの法則のポイント
キルヒホッフの法則をカンタンにいうと、こんな感じです。
電圧則:上った分は下る(一周回ったら同じ「高さ」に戻る)
もう少し詳しくみていきましょう。
キルヒホッフの法則<電流則>
まずはキルヒホッフの電流則です。電流についての法則なので「電流則」です。
このキルヒホッフの電流則は、
とある節点において、流入する電流の和と流出する電流の和は等しい
というものです。もう少しくだけた言い方をすると、
入ってきた分と、出ていく分は同じ
ということです。
電流は「流れ」なので、途中で留まったりせず、常に入った分だけ出ていきます。また、途中で増えたり減ったりしないということも重要な点です。
次に、節点が2つの時を考えてみましょう。
(節点1と節点2を、ただ繋げただけだと電気回路っぽくないので、抵抗をはさんでみました。考え方に影響はありません。)
先ほどと同様に考えて、
・節点1において、入ってきた分と出ていく分は同じ。
・節点2において、入ってきた分と出ていく分は同じ。
・この図では、節点1から出た分は全て節点2に入る。
ということは、節点1に入ってきた分と節点2から出ていく分は同じ。といえます。
ここで、緑の点線で囲った部分を一つの「箱」とみなした場合、この箱へ入ってくる電流はIaとIb、出ていく電流は IhとIgです。電流は勝手に増えたり減ったりしないため、「箱」に対しても、入ってくる電流と出ていく電流は同じになります。(箱の中で増えたり減ったりしない)
「箱」の中身がもっと複雑になっても、変わらず同じことがいえます。中身がどうなっているか分からない「ブラックボックス」であっても、他に行く所がない限り、入った分だけ出てくる ことはわかります。
キルヒホッフの法則<電圧則>
キルヒホッフの電圧則は、いろいろな言い方があるようですが、
どのルートを通っても、一周回ったら同じ高さに戻る
というのが、シンプルでわかりやすいかな、と思います。
「電圧」は電気的な「高さ」を意味します。また、電圧の矢印は、電圧が【低い→高い】方向へ引きます。
「一周まわる」を考えるにあたって、スタート地点を地点[1]にします。この地点[1]の電圧を、とりあえずStartなのでS[V]とします。(たいていはS=0と置きます。楽なので。)
そこから、起電力Eを登って地点[2]に到達します。地点[2]の電圧はS+E[V]です。
次に、R1によってV1だけ電圧降下して、地点[3]に到着。地点[3]の電圧はS+E-V1[V]です。
地点[3]からは、R2を通るルートと、R3を通るルートがありますが、どちらを通っても電圧降下は同じV2です。そのため、地点[4]の電圧はS+E-V1-V2[V]となります。
地点[4]と地点[1]は電気的に同じ場所なので、同じ高さ=同じ電圧です。
よって、S=S+E-V1-V2、Sを消して、0=E-V1-V2。となります。
さきほど、R2を通るルートとR3を通るルートのどちらを選んでも、電圧降下は同じV2だといいました。その理由について、考えてみます。
今度はR2とR3を通るループについて、先程と同様に考えていきます。
まず、スタート地点を地点[1]にします。電圧はS[V]です。
地点[1]からR2を通った先が地点[2]です。R2による電圧降下をVR2とすると、地点[2]の電圧はS+VR2となります。
そこから、R3を通った先が地点[3]であり、R3による電圧降下をVR3とすると、地点[3]の電圧はS+VR2-VR3となります。
地点[1]=地点[3]ですから、S=S+VR2-VR3、変形してVR2=VR3。よって、R2による電圧降下とR3による電圧降下は同じ、という結果になります。
キルヒホッフの法則<まとめ>
キルヒホッフの法則をまとめると、こうなります。(再掲)
電圧則:上った分は下る(一周回ったら同じ「高さ」に戻る)
また、これらのことから、
並列接続 → (つながっているものは)同じ電圧になる
ということもいえます。
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